体を動かすことが気持ちよく感じられる秋。気温は涼しく海のシーズンは終わり?と思いきや、海の水温はまだ温かく、オープンウォータースイミング(OWS)やトライアスロンのレースも開催されます。
海でのスイムをもっと沢山の人に楽しんで欲しい、という想いからスクール、イベントやツアーの企画運営を行う「オーシャンナビ」。10年以上前から活動をスタートした代表の守谷雅之さんはなぜ、海でのスイムにこだわりを持っているのでしょう。
スポーツクラブでの気付き、「お客さんは外に出たがっている!」
学生時代に競泳の選手として全国大会に出場、活躍されていた守谷さん。高校卒業後は厳しい競泳生活から離れていました。しかし、「泳ぎたい」という想いがふつふつと湧き上がり、フィットネスクラブ、スイミングクラブのアルバイトをスタート。同時に、先輩からの誘いでライフガードとしてアルバイトしていたそうです。その頃に初めて出場した海のレース。
「これがすごく楽しかったんです。プールの泳ぎとは全然違いました。ヘッドアップ(頭をあげて泳ぐこと)や、ブイの曲がり方など今までにはない経験がたくさんあり、海が泳ぐことの楽しみを広げてくれたのです。」
この経験がきっかけとなり、水泳、そしてアウトドアで泳ぐことの楽みを多くの方に広めたいという想いが強くなり都内スポーツクラブの社員に。このスポーツクラブはあまりマニュアルがなく、守谷さんは独自で会員向けに様々なスイムスクールを開催しました。
その当時は第一次トライアスロンブームが到来した時期。トライアスロンレースに向けたスクールを開いて欲しいという会員さんの声があり、『トライスイム』という企画を始めました。
「自分の選手時代のハードなメニューを元に、海での泳ぎに活用できる技術も教えていましたね。コースロープをくぐったり、障害物を浮かせたり。このようなレッスンは20年ほど前日本のどこのスポーツクラブに行ってもなかったと思います。実際に海で泳ぐという企画を考案し、希望者の方と車で南伊豆まで行くという合宿も毎年やっていました。また、私が個人的に旗を振って各地のOWSレースにメンバーの皆さんを連れて行くこともありました。」
しかし、スポーツクラブ運営の最大の目的は、会員に施設を使用してもらうこと。会員方々の中には、「運動を、施設の中だけでなくもっと外に出て楽しみたい!」という声がある。そのズレに守谷さん自身が違和感を感じ、元々あった海でのスイムを楽しんでほしいという想いから、スポーツクラブでの仕事を辞め、自分自身でスクール・イベント企画をスタートさせたのです。
ホームページを通して集まったメンバーと共に成長し続けるオーシャンナビ
朝練を中心としたスイムレッスン事業を進めて行った守谷さん。最初はお客さんを集めることが大変だったそうです。そこで活用したのが当時徐々に発達してきたインターネットの力。
「前職のスポーツクラブでホームページ制作を任された経験を活かし、自分のホームページを作ったのです。そこで、海での泳ぎ方のノウハウや、レースの評価などを掲載して。こまめにブログなど更新することで徐々に知り合い以外でも興味を持つ方が増えてきました。さらに私自身も大会に出場することもあったので、その際に参加者さんが自分のことを覚えてくれて、後からホームページを見てくださり、レッスンに参加してくれる、という流れもできましたね。」
独立して3年目でオーシャンナビをスタート。現在は、海のレース未経験の初心者の方からレースで上位入賞されるようなエリートの経験者も参加してます。
「先ほど話した南伊豆の練習会に参加してくれていたメンバーも、今でもスクールに参加してくれていますよ。例えば御年80歳で今も海で泳いでいらっしゃる女性なんかも!この方は55歳で全く泳げない状態から水泳を初めて、今ではマスターズ日本記録も持っているんですよ。」
最初は参加者だった方が徐々にレベルを上げ、今ではオーシャンナビの講師として活躍する方もいらっしゃいます。
「オープンウォータースイミングは指導法が確立されていない分野です。私が教えていた方が成長し、他のメンバーに教えほしいという思いがあったので、とても嬉しいことです。」
メンバー同士での情報交換があったり、一緒に大会に出る仲間が出来たりと、コミュニティとしても立派に機能しているそうです。
大会や記録もいいけど、「ただその海を楽しむ」ツアーへ!
オーシャンナビでは、スイムピクニックを開催しています。
「例えば西伊豆の堂ヶ島で開催するスイムピクニックでは、天然記念物の『天窓洞』という洞窟を泳いで堪能するんです。地元の方の協力がありできること。このようなツアー企画のために様々な地域の方と連携を取っています。」
島から島まで渡ったり、島1周を泳いだり、海岸線を長く泳いだり。のんびり泳ぐことと、休憩(船の上や海岸に上陸したり)を繰り返し、のんびり景観を楽しみながらピクニック気分で泳ぐのがスイムピクニックの魅力。無人島や、海外はボルネオ、グレートバリア・リーフなど様々な場所でも開催しています。
「たくさんの大会に出場した経験者さんって大会はもういいかな、と思いとそのまま泳ぐこと辞めてしまうケースも。そういう方にこそ、その地を楽しむために泳ぐ、という提案をしたいんです。逆に、楽しむという目的だと初心者の方にとっても海で泳ぐことのハードルも下がりますよね。」
海でのスイム、楽しみ方は本当に十人十色なのです。
これから、もっともっと沢山の海で泳ぐ機会をつくりたい。
また、オーシャンナビでは海峡横断の手配も行っています。
「中でも津軽海峡の横断は、オーシャンズセブン(カタリナ、アイリッシュ、クック、モロカイ、ドーバー、ジュブラルタル、津軽)と世界7海峡に指定されていて、この7海峡の中でも超難関と言われています。私自身も2回目のチャレンジで成功した経験から、どのように泳いだらよいかなど、オブザーバーとしてサポートを行っています。海外からのチャレンジャーも多くいらっしゃいますよ。メンバーでも海峡横断はいつかやってみたい!という方が多いです。」
スクールにイベント企画や協力、各地域への連携など、大忙しの守谷さん。今は手一杯だけれどこれからはさらに日本各地、そして海外の綺麗な海でのスイムピクニックやツアーなど企画をしたい、とのこと。その心は、「まず自分が楽しめなきゃ!ということですね。」という笑顔から、何よりご本人が本当に海で泳ぐことが大好きなのだな、と感じました。
————————–
オーシャンナビ
HP:http://www.ocean-navi.com/
練習会やイベントの詳細はHPにて随時アップ!