こんにちは!かとすいライターのゆーすけです!
“水”と遊ぶライフスタイルを提案する、かとすいインタビュー。
今回は、茅ヶ崎でウィンドサーフィンのショップやスクールをされている『PHAROS』の中島久水さんです。スクールとボード販売を手がけて30年以上になる中島さんですが、元々は今の自分の姿をまったく想像していなかったんだとか。そんな興味深いこれまでのライフスタイルやウィンドサーフィンの魅力について、お話を伺ってきました。
◯中島久水さん
ウィンドサーフィンショップ「PHAROS(ファロス)」のオーナー。海まで徒歩3分という茅ヶ崎の好立地で、ウィンドサーフィングッズを中心に扱うお店を構える。また、初心者にもやさしい少人数制のスクールも実施中。
http://members.jcom.home.ne.jp/pharos/
人生の風向きは、気まぐれに変わるもの。
ゆーすけ:
ウィンドサーフィンとの最初の出会いはいつでしたか?
中島さん:
確か20歳くらいの時だったと思います。会社の先輩に連れられてウィンドサーフィンを始めたのですが、最初の頃は全然面白くなかったんです。当時はウィンドサーフィンがまだ確立されていない時代ですし、今みたいにスクールなんてものもないので、自分たちで試行錯誤してやっていかないといけなかったんですね。ある程度できる先輩に教えてもらうものの、3ヶ月くらい全く乗れなくてちっとも楽しくありませんでした。
ゆーすけ:
3ヶ月も乗れないと諦めてしまいそうですよね。
中島さん:
でも、天気が穏やかなコンディションだったある日、突然別人のように乗れたんです。毎週末海に行ってはいたのですが、おそらく毎回風が強くてセールが上がらなかったことが、それまで乗れなかった原因でしたね。乗れた時は、ウィンドサーフィンってこんなに素晴らしいものなんだと感動しました。
ゆーすけ:
おお!どんなところに感動されたんですか?!
中島さん:
水面を滑るというか、今までの自分が味わったことのない異次元の感覚を感じたんですよね。水面も輝いていて、パシャパシャと波を切る音が心地良かったことを覚えています。
ゆーすけ:
その経験もあって、脱サラをしてウィンドサーフィンのショップをやり始めようとお考えになったと?
中島さん:
いえ、最初は会社を辞めて転職するつもりでした。貿易関係の仕事に就きたいと思い、英語を習得するために英会話スクールに行ったんです。その傍らでウィンドサーフィンをしてたら、知り合いに「地中海クラブのインストラクターのバイトがあるがどうか?」と勧められたんです。「英語を学ぶ」という点ではそれもありだなということで、まずはインストラクターの実務経験を積むために、千葉の館山のお店で住み込みを始めました。
館山ではインストラクターとお店の手伝いをしていたのですが、地中海クラブの試験が上手く受けられず、1年ほど時間だけが経過しました。自分の当初の目的は「英語を学ぶこと」で、英会話スクールも休学して館山まで来ていたので、「このままじゃまずい」と思ったんですね。そこで、地中海クラブを勧めてくれた知り合いに再度相談したところ、「茅ヶ崎で居抜きのサーフショップがあるから、そこを継いでみたらどうか」と持ちかけられた。ショップを始めたのはそれからです。
ゆーすけ:
なるほど、そういう経緯があったんですか。住み込みで生活はできていたわけですし、ぼくが中島さんの立場だったら、そのままずるずるとそこに居続ける人生だったかもしれません。笑
中島さん:
実際、館山は住み良かったしそのまま生きていける環境でしたよ。そして、自分自身もちゃんとした性格ではないし、ラクな方にいっちゃうタイプです。笑
ただ、前職を辞めて再就職すると決めた決意をこういう形で曲げるのはどうかなと思ったから、「まずいな」と無意識に感じたんでしょうね。
ゆーすけ:
再就職のために英語を学ぶという気持ちが、やっぱり強かったんですね。でも居抜きのサーフショップを継ぐというのも、その気持ちから遠いような気もしますけど?
中島さん:
借金をして始めるなら当初の目的があったからやってないですが、居抜きでお店も商品もある状態だったというのが大きかったかもしれません。失敗してもゼロでありマイナスではないですから。あと、亭主となって自分のお店をやってみたいという気持ちを、27歳だった当時は抱いていたと思います。館山で身につけた技術も活かせそうで、なんとかなりそうな自信も多少あったでしょうし。
ゆーすけ:
お店を持つ誇らしさはあったでしょうしね。んんん…でもやっぱり遠回りな気が。。
中島さん:
とりあえず始めてみて、いつでも当初の目的に戻れるなとは思っていたんです。だから、お店を始めると決めたら、休学してたスクールも辞めて、お店の経営に一生懸命になりました。その後結局、本来の目的を考えることはなかったんですけどね。笑
ゆーすけ:
ええええ!あの決意はどこいっちゃったんですか!笑
ちなみに聞くんですけど、その時しっかり英会話を勉強して、貿易会社に再就職する人生を歩んでいたら、今どうなっていたと思いますか?
中島さん:
どうなっていたかなー、もしかしたら貿易会社の社長になってたかもしれないですよね。笑
まあ、人生の風向きは気まぐれに変わるものですから。
ゆーすけ:
た、確かにおっしゃる通りです。笑
なんだか、腑に落ちなかったものが、一瞬で吹き飛ばされたような気がします!
「PHAROS」に込めた想い
ゆーすけ:
知人もいない茅ヶ崎でお店を始めることになったと思うんですけど、どうやって展開していったんですか?
中島さん:
お店に居ても仕方ないので、友達を作りにほぼ毎日海でウィンドサーフィンをしていました。サムタイムワールドカップという大きな大会もその当時行われて、ウィンドサーフィンを始める人がちょうど増えてきてたんです。だから、海辺で友達を作って「あそこでお店始めたから」とアピールして、お客さんを集めてました。かなりチャラい感じですよね。笑
ゆーすけ:
ということは、店番は不在だったんですか?
中島さん:
いやいや、千葉で仲良くなった仲間が週末に手伝いにきてくれたりで店番をしてもらってましたよ。ただ、その時一番お世話になったのは、当時付き合っていた彼女のファミリーです。彼女の妹がちょうど仕事を辞めたタイミングで、お店の手伝いを無給でしてくれました。東京から来ていたのに交通費さえも無しでいいと言ってくれて。今でも感謝しています。
ゆーすけ:
すごい!ステキなご家族ですね!
中島さん:
お世話になってる人も協力してくれる人もいたからこそ、それに応えたくて頑張れましたね。
お店の経営はギリギリでしたけど何かしらの面白みは感じてたし、待ってても売れないので、売れる方法を積極的に模索しました。館山にいたときにサーフボードをカスタマイズする技術を習得していたので、同業者のところに行ってオリジナルボード作りませんか?と持ちかけにいったり。あと、オリジナルのアパレルなんかも作って販売したりしました。
ゆーすけ:
当初の目的に脇目も振らず、一生懸命になる理由がよく分かります。居抜きでやっていたそのお店は何年くらい続けていたんですか?
中島さん:
6、7年くらいですかね。借家だから改装もしてなかったのですが、お店を貸してくれていたオーナーから店を空けてほしいと言われ、自分が正真正銘のオーナーとなって2軒目をオープンしました。
ゆーすけ:
正真正銘のオーナーとなって、というと?
中島さん:
1軒目の居抜きのお店は、貸してくれていたオーナーに経営を任された店長みたいなものだったんですね。だから「パラダイス」という看板を変えない条件でお店を経営していたんです。「PHAROS」というお店になったのは、自分がオーナーとして2軒目のお店を持ってからなんです。
ゆーすけ:
あ、そうなんですか。そういえば、「PHAROS」という名前の由来ってなんですか?
中島さん:
「PHAROS」というのは一番最初は店名に使ったわけではなく、オリジナルで作っていたアパレルのブランド名で使い始めたんです。この言葉がいいんじゃない?と勧めてくれたのは、館山に居た時の友人でした。1軒目が「パラダイス」という名前だったから「P」から始まる言葉にしようと調べていた所、俗語で「灯台」という意味の「PHAROS」を友人が見つけてくれて。
ゆーすけ:
灯台ですか、なるほど。その言葉をなぜブランド名から店名にしたんですか?
中島さん:
ランドマークと言いますか、目印・道標のようなお店になればと思いまして。その2軒目も6、7年くらい続けて、今の3軒目に至っています。
不思議なことに、1軒目より2軒目の方が海に近づいてきていて、2軒目より3軒目のほうが海に近づいてきてるんです。笑
でももう海に近づくことはないでしょうね。ここを離れるときは、引退して終わろうと思ってますから。
ウィンドサーフィンのこれから
ゆーすけ:
今後、ウィンドサーフィンをやる人は増えて欲しいですか?
中島さん:
もちろん。ウィンドサーフィンが身構えて始めるスポーツではなく、入り口が広くエントリーしやすいスポーツになればと思っています。海に来た時に浮いているセールを見て、あれなんだろう?楽しそうだからやってみたい!という具合に。逆にサーフィンと比べて圧倒的に違うのは、ウィンドサーフィンは道具も多いし、一つ一つの物も大きいので目立ちやすいという利点があります。
ゆーすけ:
そういう意味では、2020年の東京オリンピックでウィンドサーフィンの注目も集まりそうじゃないですか?
中島さん:
実際に見たり、海に行ってみないとわからないですから、海に来る機会をつくってくれるオリンピックは有難いです。
ただ、ウィンドサーフィンってあんまり露出されないスポーツなんです。それはヨット競技のひとつであって、ヨットもあんまりテレビに出ないですから。あと、全体が見えにくいので、画になりづらいんでしょうね。例えば、スノーボードとかだとスタートからゴールまですべて見えるし、すぐ終るじゃないですか。ヨット競技は遠くにブイがあって、それを周回するような動きをするので、ずっと同じような海の画になってしまう。撮る側も見る側もメリハリがなくなっちゃうんですよね。
ゆーすけ:
うーん、そうなんでしょうけど、なんか悲しいですよね…。
中島さん:
だから、キムタクとかがウィンドサーフィンしてくれるのをテレビで発信したりする方がいいのかも。笑
ゆーすけ:
キムタクがウィンドサーフィンできるかわかんないじゃないですか!笑
かくいう自分はウィンドサーフィンをやったことがないのですが、サーフィンよりもウィンドサーフィンの方が面白い点ってどこですか?
中島さん:
波を追い越すことができるところですね。サーフィンだと岸側にいて、この波をキャッチしようと思ってパドルをし始めますが、波を追い越すことはできない。ウィンドサーフィンも基本的には同じなんですけど、自分が見逃した波に後ろから追いつくことができます。
あとは、スピード感ですかね。サーフィンはゼロからマックスに達するスピードがすごく早いですが、風に乗ったときのスピード感はウィンドサーフィンのほうが早いです。
ゆーすけ:
あと、遠くまで行けるところも面白いところだったりするんじゃないですか?
中島さん:
そうですね。島を横断する人もいるくらいですし、行動範囲が広くなって沖のうねりが窺えるのもウィンドサーフィンの特徴かな。
ゆーすけ:
ちなみに、中島さんは今一人でウィンドサーフィンを楽しみに行くことはあります?
中島さん:
2ヶ月に1回くらいですが、ありますよ。今自分が主にやってるのは、波に乗ってジャンプしたりするボードです。そうするとコンディションが非常に限られるんですよ。波というより風が強くないと乗ることができない。なぜかというと、波に乗った時に動かしやすくするために小さい板を選ぶのですが、そうするとボードの浮力がなくなるのである程度風が吹いていないと浮かないんです。あと、風の力を借りてセールを上げるので、風がないとセールが上がりません。一般的なウィンドサーフィンは、セールを上げるとき板に乗ってから引き上げますけどね。
ゆーすけ:
へええ。でも、風が強いと危なそうなイメージがあります。
中島さん:
白波が立つような海の状況をよく、「うさぎが跳ねる」と言いますが、あれくらいの風が必要になります。あとは、危ないという点では風の向きも大切です。陸から沖に向かって風が吹いているオフショアという状況だと、何かあると帰ってこれなくなるので、その逆のオンショアかビーチと平行に吹いてる状況がいいですね。
同じボードでやっている人たちは、そういう良い風が吹いてるポイントを狙って毎週末移動してます。となると、自分はお店を持ってるので、移動ができなくなって乗る回数が少なってしまうという。逆にこの辺りでそういうコンディションになると、お客さんが集まるので店にいなきゃいけないという状況にもなる。そうすると、2ヶ月に1回くらいになっちゃうんです。
ゆーすけ:
じゃあ、たまにできるウィンドサーフィンを楽しんでいるということですね。
中島さん:
そうなります。ただ、ウィンドサーフィンにもいろんな種類がありまして、レースボードと言ってスピードを出すものや、大きなセール大きなボードで弱い風でも楽しめるものもありますから、ぜひやってもらいたいですね。
ゆーすけ:
では最後に、これからウィンドサーフィンを始める人にメッセージをください!
中島さん:
うちの宣伝みたくなってしまうのですが、ウィンドサーフィンを始めるならスクールに入るのが一番の近道です。というのも、友人や知人に連れられて始める人が多いですが、友人が持っている道具はその人用にカスタマイズされたもので、誰かに教えるためにカスタムされた道具を持ってる人はまずいないからです。逆にウィンドサーフィンを分かっている方なら、最初に使う道具に左右されるパーセンテージが高いということも知っていると思うので、まずスクールを勧めるはずです。マリンスポーツですので、しっかりと危険を回避しながら、ウィンドサーフィンを楽しんでください!
PHAROS中島さん、有難うございました!!
水と遊ぶライフスタイルにウィンドサーフィン、いかがですか?(^^)
【PHAROS 茅ヶ崎ファロス】
●住所
茅ヶ崎市東海岸南6-4-75
●アクセス
車:134号線 第一中学校入口交差点から10m
バス:
茅ヶ崎駅南口 1番のりば 茅09 東海岸循環
ヘッドランド入口 又は、第一中学校前下車
●電話番号
0467-87-2186
●Eメールアドレス
pharos@jcom.home.ne.jp
●ホームページ
http://members.jcom.home.ne.jp/pharos/info/shopinfo.html
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