オープンウォータースイマー節政健一がお送りする「津軽海峡横断泳までの道のり」。今回は私のデビュー戦のお話をご紹介します。【津軽海峡横断泳までの道のり vol.2】
津軽海峡を泳ぐと決めたものの何をすれば良いのか分かりません。当時はネットで検索しても津軽海峡を泳ぐための手がかりは何もありませんでした。津軽海峡横断泳について色々と調べているうちにオープンウォータースイミング(以下:OWS)という水泳競技があることを知り、まずはOWS大会に出場して海を泳ぐことにしました。
はじめて泳いだ海の2km
津軽海峡横断泳挑戦を決意から1年後の2009年6月に地元である宮崎県延岡市で開催されたOWS大会に出場しました。第1回大会でコースは島に向かって泳ぐ2kmの直線コースです。
海に走り込んで泳ぎ始めた直後にクラゲに顔を刺され、痛みで少しパニックになりながらのスタートとなり、また、泳ぎ始めると陸上から見える景色と海の中から見える景色がまったく違うことに驚きました。
海の厳しさの洗礼を受けながら、ゴールの方角を見失い、自分がどの方向へ進んでいるのか分からなくなり、さらに波の変化に対応できずにフォームも崩れてめちゃくちゃな泳ぎになってしまいました。
そして、右往左往しながらもなんとかトップでゴールでき、OWSデビュー戦を初優勝で飾ることができました。
しかし、レース内容は散々なものでとても津軽海峡を泳ぐなどその場では口にできず、津軽海峡横断泳挑戦が遠のいていくような気がしましたが、プールとはまったく違った泳ぎの感覚と海を泳ぐことの難しさを学ぶことができ、それと同時に海を泳ぐ楽しさと奥深さに魅了され私のOWS人生がスタートしました。
海で泳ぐために必要なヘッドアップ
プールと違いコースロープなどの道しるべとなるものが海にはありません。そのため自分で目標を確認しながら自分でゴールまでのコースを作っていかなくてはなりません。そこで必要となるテクニックがヘッドアップです。
簡単に説明すると、クロールで泳ぎながら前方に顔を上げて方向を確認するためのテクニックですが、このテクニックを使うことで泳ぎのスピードを落とさずにスムーズに方向確認を行うことができます。しかし、ヘッドアップは普通のクロールに比べて体力を多く消費するので、なるべく回数を減らして泳ぐこともOWSでは必要なテクニックになります。
また、ヘッドアップを行うことで泳ぎのテンポが変わってしまうと、体力をさらに消費してしまうのでプールで練習する際には、25m泳ぐ間に1回ヘッドアップを入れる等々、普段の練習にもヘッドアップを組み込んで顔を上げるタイミングを練習しておきましょう。
方向確認は平泳ぎでもできるので無理にクロールで行わなくても良いですが、ヘッドアップはOWSスイマーなら必須のテクニックなのでぜひ身に付けてもらいたいです。
節政健一の津軽海峡横断泳までの道のり
【vol.1】 私がOWSスイマーになったきっかけ