近年、ファッションやインテリア、デザインなどで人気を集めている北欧の国々。
国連による『世界幸福度ランキング』では、毎年フィンランド、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国が上位に名を連ねています。
なかでも2013年、2014年、2016年に上記ランキングで第1位となり、また『ヒュッゲ(Hygge)』という特有の概念で注目を集めるデンマーク。
慌ただしく過ぎた平成最後の夏が終わり、少しゆっくりと過ごしたいな。
自分のこれからについて、考えるためのヒントが欲しいな。
そんな時に目にとまった北欧のライフスタイル雑誌。
“北欧で探す、幸せな暮らし”
この表紙の言葉に惹かれ、寒さが苦手なわたしですが、デンマークを訪れることにしました。
今回は、旅の中でわたしが感じた『ヒュッゲ』や『幸せ』について、水泳事情と共にお届けします。
主観たっぷりですので、その点はご了承くださいね。
ヒュッゲ(Hygge)ってなに?
デンマーク行きを決めた理由は、この『ヒュッゲ(Hygge)』を体験してみたかったから。
これはデンマーク人が大切にしている時間の過ごし方や心の持ち方を表す言葉で、日本語に訳すとしたら、”居心地のいい時間や空間”という感じでしょうか。
最近では『Hygge』という本や、それに関連した雑誌も数多く出版されています。
日本や欧米でも、この生き方や考え方を見習おう、日々の生活に取り入れよう、という流れがあります。
デンマーク第4の都市オールボー
わたしが滞在したのは、デンマーク第4の都市Aalborg(オールボー)。
首都コペンハーゲンからは、列車で約4時間、飛行機では1時間弱の場所にあります。
コペンハーゲンも見所がたくさんあり、人で賑わっていて良さそうだけれど、今回の目的はゆっくりと過ごすこと。なので、あえて首都を目的地にはしませんでした。帰りに少し立ち寄るくらいでいいかなと。
デンマークの北西部に位置する港町オールボーは、こじんまりと、コンパクトにまとまった街。
漁業が盛んで海産物やお酒が有名です。街を歩くと可愛いらしい建物ばかり。そのせいで足を止めてしまい、なかなか先に進めない(笑)
なかには1600年代に建てた建物をそのままレストランとして利用していたり、
昔、発電所だった場所をリノベーションしてカフェや映画館、アートスペース、ジム、大学の教室など、多目的に使えるスペースとして利用していたり。
現代社会と歴史が融合した、不思議な世界を体験することができます。
「なぜこんなに古い建物をそのまま残しておけるのだろう?」
ふと、浮かんだ疑問。
デンマーク人の友人に聞いてみると、
「デンマークは地震が無いんだよ。そのかわりに、めちゃめちゃ風が強いけどね」とのこと。なるほど。そういえば、巨大な風力発電機をいたるところで見ました。
余談ですが、古い建物をリノベーションして活用しているため、大工さんの仕事が需要あるらしいです。でも、肉体労働だからきついって。
デンマークの友人宅で『ヒュッゲ』な時間
友人キャスパーは、オールボーでアパートをシェアして暮らしています。今回はここでお世話になりました。首都コペンハーゲンでアパートを探すとしたら、同じ家賃で広さが半分になるそう。
「コペンハーゲンは人が多いし、物価も高い。静かでコンパクトにまとまったオールボーが住みやすくて好き」と彼は言っていました。
シンプルで落ち着いた雰囲気のリビング。コーヒーを飲みながら外の景色を見ているだけで、『ヒュッゲ』って感じ。特別なことがなくても、静かで穏やかな時間。
目の前にある公園を散歩するのも気持ち良いです。
わたしが滞在したのは10月の終わり。この時期、17時には外が真っ暗になります。
しかも気温は2℃くらい。なので、日が暮れたら、外出するよりもリビングで本を読んだり、映画見たり、おうちでまったり過ごした方が快適。その日にあった出来事を話しながら、みんなでご飯食べたりするのも楽しい。
携帯もパソコンもいらない。
やわらかな幸せにひたってしまう時間でした。
日曜の夜は街に全然人がいないし、店も閉まっている場所が多いけれど、
のーんびりと過ごしたい方にはおすすめの街です。
オールボーについてもっと知りたい方はこちら(英語のみ)↓
https://www.visitaalborg.com/ln-int/aalborg/tourist
デンマークの水泳事情
旅と泳ぐことが好きな私の趣味は、世界のプールや海を巡ること。
特にプールは、国によって使い方やルールが違うことが多いです。プールを通して、その国の文化や考え方などが見えてくるような気がして、それが面白いんです。
ということで、もちろん北欧でも寒さに負けずプールで泳ぎました。旅の疲れを取るには泳ぐのが1番ですし。
友人キャスパーがスイミングのコーチをしているので、ちゃっかり地元のスイミングスクールに潜り込んで、一緒に練習(笑)
北欧というと、スノーボードやスキーなどのウィンタースポーツのイメージがあって、こんな寒いのに泳ぐ人いるのかなって思ってました。そもそもプールあるのかな?って。
でも、探してみたら意外とたくさんありました。首都コペンハーゲンの市民プールは、平日の夜でもけっこう混んでいたし。みんな仕事終わりに泳ぎに来てるのかな。
デンマークと日本のプールはどう違うのだろう?
日本とデンマークの違いをいくつか挙げてみたいと思います。
・時計がデジタル
日本や他の国だと、プールサイドに2本の針で動く時計があると思います。
泳ぐときはそれを使って時間を管理したり、本数を数えますよね。
デンマークはこの時計がなくて、数字を表示するデジタル時計のみのプールが多いようです。そして1時間毎にリセットされます。
「これじゃ本数わかんないじゃん!」って言ったら、キャスパーは「え?数えられるよ?」とのこと。
うーん、納得できない…
・プールが片側だけ深い
ダイビングプールと競泳用のプールが合体したような感じでしょうか。
片側に飛び込み競技用の飛び込み台が付いていて、そちら側は深さが5mくらいあります。
底が可動式ではないので、常にその深さ。みんな水面を普通に泳いでいました。
試しに深さ5mの底まで潜ってみましたが、監視員さんは注意しに来なかったからOKなのかな。調子に乗って、泳いだり潜ったりしながら自由に遊んじゃった。
・シャワーは、みんな一緒に裸で浴びる
ロッカー内には広いシャワースペースがあって、個室ではなく立ったままみんな一緒に浴びるスタイル。しかも、泳いだ後は裸で浴びるルールなので、壁に背を向けたら、正面の人と裸で向かい合う感じになります。
ちょっと恥ずかしい気もするけど、慣れれば平気。ちなみに、プールサイドにはシャワーが無いので、ロッカーで浴びてからプールに入ります。
あとは、
・プールは右側通行
・スイムキャップを被らなくて良い(これはオーストラリアなどもそうですね)
・水温が27℃くらいで寒い
首都コペンハーゲンの市民プールは1回の利用料が44DKK(760円くらい)だったので、日本より少しお高めですね。
※デンマークの通貨はDKK(デンマーク・クローネ)で、1DKK=17.27円。
(2018/11/19の為替レートより算出)
スイマーのみなさん、デンマークへ訪れた際には、ぜひプールに立ち寄ってみてくださいね。
デンマークに住むって、本当に幸せなのかな?
何度も『世界幸福度ランキング』で1位となっているデンマーク。
訪れる前、わたしは次のような疑問を持っていました。
”住んでいる人は、果たして本当に幸せなのだろうか”
”旅行者として訪れた私は、その『幸せ』を感じとることができるのだろうか”
”そもそも、『幸せ』って何だろう”
そして、実際に行ってみて、約10日間の滞在を通して感じたこと。
それは、この国は必ずしも『理想郷』というわけでは無いが、デンマークで暮らす人たちは自分の国を肯定的に見ていて、ここで生活することに満足している気がする。
その背景として、
高い税金を払う代わりに医療費が原則無料だったり、大学・大学院まで学費は無料など、保証が充実していること。
仕事内容にもよるけれど、定時は15時から17時という職場が多く、仕事が終わったら残業せずにさっさと帰って家族や友人との時間を大切にできる。
そういった環境がきちんとあるからこそ、『幸せ』と感じるのかな。
友人やその友達も、これらのシステムに満足しているようでした。
また、”必ずしも『理想郷』というわけでは無い”と感じた理由の1つとして、滞在中に驚いたことがありました。
日本のような就学義務がないデンマークは、近年、非競争的な教育が根付いていることなどでも注目を集めています。そのため、子供はみんな個性を尊重されてのびのびと生きているイメージがありました。
ある日、子供に水泳を教えているキャスパーが、急に怒りながらメールを見せてきた時のこと。
「コーチは〇〇ちゃんだけ、ひいきしているのでは?うちに子もちゃんと面倒見てください。彼女は他の選手のように結果が出ないことを悩んでいます」
それは、ある競泳選手の保護者からのメール。
勝ち負けや順位のある世界では、結果が出てなんぼ。選手たちは、常に自分と周りを比べているそう。
どこの国でも、同じようなことが起きているんだな。
デンマークが特別な国では無い気がして、逆にそこから日本の未来に可能性を見出せたような気がしました。
今回の旅で『幸せ』という言葉1つでも、様々な形や定義、イメージがあるということに気付きました。
ハワイ島で生活したことがあるわたしは、なんとなくハワイの方がみんなHappyで自由に生きている感じがして、それがわたしの中にあった『幸せ』のイメージ。
そして、それを観光客も体感することができ、だからみんなハワイが好きなんだよな、って。
しかし、デンマークで体験した”心地よさ”も確かに『幸せ』と呼べるものでした。
旅を通して幸せになるための選択肢というか、自分の中の引き出しが増えたような気がします。
なにをしているとき、どんな時間を過ごすとき、誰といるとき、幸せと感じるのか。本当に大切なものはなにか。
それが分かっていて、選択することができれば、
本当の幸せを手に入れることができるのではないだろうか。
幸せの定義は自分で創っていけばいいし、それは変わってもいい。
大事なのは、自分の目で見て、感じて、選択していくことなのかなと思いました。
今回は寒すぎたので、また”ヒュッゲ”を求めて夏に訪れたいと思います。
次はついでにフィンランドやノルウェーにも行こうかな。
基本情報など
日本からの行き方や、実際に行ってみて知ったことを、さらっと書いておきます。
行き方:日本から首都コペンハーゲンまでは、直行便で行き約12時間、帰り約11時間
時差:7〜8時間(日本の方が+7〜8時間。サマータイム期間中は時差7時間)
通貨:DKK(デンマーク・クローネ)
※ほとんどカードまたはモバイルペイでの支払い。あまり現金を使う機会は無いが、駅のトイレを使う時に2クローネ必要だったり、美術館やプールのロッカーがコイン式なので、コインを少し持っていた方が良い。
<その他>
・電車の駅表示などはデンマーク語
アナウンスは英語もあるが聞き取りにくい。下車駅やホームの場所などが分からない時は、英語で聞いた方が良い。だいたいの場所で英語が通じる。
・ホテルや街のレンタル自転車を利用して観光すると便利
国民の3分の1が通勤・通学に自転車を利用する自転車大国。歩行者用と同じくらいの広さの自転車用道路があり、電車に自転車を持ち込むこともできる。
・伝統料理にはじゃがいもが盛られすぎている
伝統料理はお肉とじゃがいもを使ったものが多い。じゃがいもは多すぎて食べきれなかった。デンマーク人の友達でも、こんなに食べれないって言ってた。
ほかにはパンの上に魚介類やお肉など、色々のせて食べる料理もポピュラー。
食べても食べても減らないじゃがいも。デンマークでぜひチャレンジしてみてください(笑)