こんにちは!かとすいライターのゆーすけです!
“水”と遊ぶライフスタイルを提案する、かとすいインタビュー。
今回は、料理研究家として活躍する傍ら、トライアスロンにも熱心に取り組まれておられる高橋善郎さんです。
「人に優しくすることができる自分になるためのスポーツが、トライアスロンだと思うんです。」そう語る高橋さんがトライアスロンに励み、良い成績を求める理由とは?普段の料理研究家という立場からは伺うことのできない一面に、今回は迫っていきます。
◯高橋善郎さん
料理研究家/トライアスリート。
素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアンと幅広いジャンルを得意とし、テレビ、雑誌、食品メーカーのレシピ開発など多岐に渡り活躍中。調理師免許、ソムリエなど食に関する9つもの資格を保有。(きき酒師の上位資格「日本酒学講師」の最年少保有者)
2016年から農林水産省・JICAの共済事業にも参画し、国内外で日本食・食文化を発信している。
トライアスロンに、惚れるまで。
ゆーすけ:
トライアスロンとの出会いは、どのようなものでしたか?
高橋さん:
最初にトライアスロンを知ったのは、大学4年生の頃にフォトクリエイトという会社でインターンをしていた時です。トライアスロンや様々なスポーツ、文化事業などのイベントで、プロのカメラマンが写真を撮って、その写真を消費者が買うというビジネスモデルの会社なのですが、そこでインターンをしている時にトライアスリートの写真を見て「カッコイイなぁ!」と思ったんです。いずれはトライアスロンをやってみたいと思ったのは、その時でしたね。
ゆーすけ:
なんだか珍しい出会いですよね。
高橋さん:
大学を卒業して就職をしたのですが、東日本大震災が起きたことをきっかけに、「自分にしかできないことをやっていきたい」という気持ちが芽生えて、その会社を1年で退職し、料理の世界で勝負していくことを決心しました。
ちょうどその時父の店である「凧」がオープンしまして、夜はお店の営業を手伝いながら、日中はフォトクリエイトに戻って契約社員として働かせてもらっていました。その会社のメンバーから、「ダブルサバイバー」という社会人アスリートチームに一緒に入ってトライアスロンを始めよう!と誘ってもらって、少しずつ一緒にトレーニングをするようになったんです。そして、比較的出やすい世界トライアスロンシリーズ横浜大会に初めて出場したのが、今から4年前のことですね。ただ、一緒にトレーニングを始めたメンバーは、結局その大会に出なかったんですけどね(笑)
ゆーすけ:
え、デビュー戦を一人で出たってことですか…?不安とかありませんでした?
高橋さん:
もうめちゃくちゃ不安でしたよ(笑)バイクのシューズを置く場所とか、計測チップを付けたりとか、トライアスロン特有の流れも全然わからなかったので、会場に着いてから他の選手や運営の人に聞いたりして、てんやわんやしながらスタートした感じでした。
ゆーすけ:
ちなみにその大会、結果はどうでした?
高橋さん:
ボロボロでした。学生でいう記念受験のようなつもりというのもあったかもしれませんが、それにしてもひどい結果でした。その大会ではスイムパートの通過が45分までだったのですが、私はスイムを上がったのが44分45秒くらいで、残りのバイクとランもなんとかしてゴールしたという。
もうレースの最中は終始、「なにやってんだろ?」って気持ちでした。でもゴールした後、もうちょっとがんばったら良い結果が出るんじゃないか、、、とか思ってしまった自分もいました。
ゆーすけ:
そこから本格的に練習をするようになった、ということですか。
高橋さん:
いえ、その後は1年ほどトレーニングをしなかったんです。ちょうど料理研究家として独立した頃で、1年間で資格も9個取ったり、お店でも缶詰めになって父親から料理の基礎を教えてもらったり、とにかく料理の基礎を叩き込む1年だったので。
ゆーすけ:
わ!資格9個はすごい努力ですね。
となると、トレーニングを再開したのは?
高橋さん:
本格的に再開したのはここ2年くらいの話です。きっかけとなったのは、元プロトライアスリートの河原勇人さんに、ダブルサバイバーのレッスンでお会いしたことでした。ビジネスアスリートチームのダブルサバイバーの練習が不定期になることもあって、河原コーチには個人レッスンもお願いするようになって、トレーニングを積むようになりました。
ゆーすけ:
逆に言うと、なぜ再開することにしたんですか?
高橋さん:
トライアスロンは個人競技ですし、自分の頑張り次第で上を目指せるという特性もあって、もう少しちゃんと練習したいという気持ちがずっとあったんだと思います。
また、ビジネスマンかつアスリートという二面性を保ちながら、トレーニングを続けていきたいという想いもありました。その点、ビジネスマンかつアスリートが集まるダブルサバイバーは私には合っていて、トレーニングをみんなでやるときもあれば、飲み会をするときもあったり居心地も良いです。そのチームや河原コーチに出会って、もう一度トライアスロンをやりたいという気持ちが沸々と燃え上がってきたんでしょうね。
「食×スポーツ」が持つ可能性を広げる。それが料理研究家としての強みになる。
ゆーすけ:
現在、練習はどれくらいしてらっしゃるんですか?
高橋さん:
週3日ほどです。時間帯はほとんど午前中か夕方ですね。午前中に河原コーチとスイムのレッスンを入れたり、千駄ヶ谷のグランディヴェルというバイクショップに通っていて、夕方からそこでインドアのレッスンしていたり、週1でランを入れたりと、身体のバランスが崩れないように満遍なく練習するようにしています。フリーランスということもあり、夜に練習をすることはほとんどありません。
ゆーすけ:
普段はそのルーティンで、レース前は練習の頻度や強度を上げるようなイメージですか?
高橋さん:
私はどちらかと言うと、1時間や2時間でやると決めたら、その時間だけ徹底的に集中してトレーニングをするタイプで、レース前に頻度や強度を上げるといったことはほとんどないですね。ただ、レース前はイメージトレーニングを相当やり込みます。河原コーチとのランレッスンでも、どういう風に風よけをするか、坂に入る際にどのようなギアチェンジをするかなど、かなりレースを意識して走ったりします。なので、トレーニングの量自体は他のアスリートの方に比べると少ないと思います。
ゆーすけ:
ちなみに、スイム・バイク・ランですと、どれが得意でどれが苦手です?
高橋さん:
得意なのはバイクで、苦手はスイムです。スイムに関しては以前から苦手意識があったものの、河原コーチにご指導いただく個人レッスンを積み重ねてきたおかげもあって、最近では克服できてきた印象です。
バイクに関しては、今通っているバイクスクールとの相性も良く、最初の頃からタイムもかなり伸びました。私は専らインドア派なのですが、インドアだと乗る姿勢やペダルの漕ぎ方を変えた結果が、数値となって可視化しやすいんですよね。そこの理論を少しずつ詰めているというのがタイムの伸びにつながっているのかなと。週2回1時間のトレーニングだけでも、かなり高強度で有意義な練習ができていると感じてます。
ゆーすけ:
ご多忙にも関わらず、週3回時間を取っていろいろと考え抜いてトレーニングをされてますが、何か原動力となっているものがあったりされるのでしょうか?
高橋さん:
私が今28歳でして、カテゴリでいくと25歳から29歳の出場枠に入るのですが、この中で上位に食い込む経験値を貯めておきたいと考えています。来年になってしまうと、30歳から50歳のカテゴリに入り、エントリー数も多ければ猛者も多く、上位に入るのが難しくなります。今年がこのカテゴリで臨める最後の年ということもあって、今年はたくさん大会に出て上位を目指したいなと。
ゆーすけ:
確かに、目標があるからトレーニングにも精を出すことができるということですよね。
でも高橋さんの本業はやっぱり料理研究家であって、プロのトライアスリートではないので、そもそも勝ちにこだわる必要すらないとぼくは思うんです。完走するだけでも立派なトライアスロンにおいて、上位を狙うのはなぜですか?
高橋さん:
それは、「食とスポーツの融合」を追求できる料理研究家になりたいと思っていて、だからこそトライアスロンで結果を出す必要があると考えているからです。トライアスロンでの結果があると、「食×スポーツを楽しんでいきましょう!」と周囲に発信をした言葉の重みが全然違ってきますから。
その点では、自分の身体は実験台だと思っています。料理研究家をやっていながら、スポーツでも結果を出しているという結びつきがあることで、「トライアスリートとしての私は、こういうものを食べて結果が出た」ということを伝えるための実験台という意味です。そう伝えたときの説得力と発信力を出すためにも、やっぱりレースでの結果が不可欠なんですよね。
もちろん、これを食べれば必ず勝てるということはありません。ただ確実に食はレースに関わってくるので、スポーツをしている自分が率先して食べるものを色々試して、スポーツに関わるすべての方に、私なりの言葉で「食×スポーツ」を伝えていきたい。それは料理だけとかスポーツだけをやってる人には出せない魅力で、自分にしかない価値だと思います。「走る料理研究家」と名乗っているのは自分くらいじゃないかなと思うし、日本で一番トライアスロンが速い料理研究家だと自負しています(笑)
ゆーすけ:
なるほど。料理研究家としての一面を持ちながら、なぜ高橋さんがトライアスロンにこだわるのか、すごくよく分かりました。
それにしても、「走る料理研究家」はとても良いネーミングだと思います(笑)
「高橋善郎」という商品を使って、たくさんの人のライフスタイルに影響を与えていきたい。
ゆーすけ:
高橋さんはまだお若いですが、今後これから先はトライアスロンとどのように付き合っていこうとお考えですか?
高橋さん:
もちろん続けていこうと思います。私が30代40代になって、どれほどの熱量で取り組んでいるかは分からないのですが、仮にタイムが遅くなったとしても、トライアスロンはゴールする度に強くなっていけるスポーツだと思うので。
ゆーすけ:
身体だけでなく精神的にも、という意味合いですよね。
高橋さん:
そうですね。あと、私が料理研究家兼トライアスリートであることで、自分もトライアスロン始めてみようかなとか、ランニングだけでもやってみようかなとか、たくさんの人にナチュラルにスポーツを楽しんでもらいたいと思っています。そうして、充実したライフスタイルを手に入れるきっかけに少しでも繋がるなら嬉しいことだなぁと。
そして、その想いはスポーツでもそうですが、食においても同じなんですよね。だからこそ、「食×スポーツ」の可能性が無限大だと私は感じているんです。海外のレースに出場した際にも、レース後に見ず知らずの選手と自然にハイタッチをしていたり、スポーツって言葉がなくても国境を越えられるものだと思うんです。食も全く同じで、私はフランスやロンドンなど、包丁一つで渡って料理をしたりする経験もあるのですが、言葉が通じなくても美味しいって言ってもらえて、世界の人たちと繋がることができる。食とかスポーツは本当に普遍的なもので、ライフスタイルに直結するものだと思っています。
ゆーすけ:
まさに、高橋さんだからこそ出せる価値という印象がします。
そういった理想を掲げている中で、今年1年は具体的にどんな目標を持っておられるんですか?
高橋さん:
JTU(公益社団法人日本トライアスロン連合)のポイントランキングで、年代別で年間1位になることです。ですので、オリンピックディスタンスでポイント対象の大会には、7つか8つくらい出る予定です。去年一番良かったタイムが、年代別で2位に入ったみなと酒田トライアスロンおしんレースでして、2時間13分でした。そのレースをパートごとに紐解いて上手くブラッシュアップをしていければ、年間1位は充分狙えると思っています。そして、JTUのポイントランキングが10月で締まりますが、そこで年間チャンピオンを取りたい。これは本当に狙っていきますし、絶対獲ります。そして来年の世界選手権に高橋JAPANというユニフォームで出る!これが今年の目標ですね。
自分の料理研究家としての努力・実力は大前提なのですが、その信頼をより固いものにするために、トライアスロンでの実績が欲しいんです。私の話を聞いてもらえる人が増えたり、スポーツを始めようとする人が増えたり、そういった影響力に繋げるつもりで、トライアスロンは今年1年間は仕事だと思って取り組んでいくつもりです。
ゆーすけ:
すごい気迫ですね。お話聞いてて思ったのですが、ある意味「高橋善郎」という人間を見せ物にして、誰かに何かを感じて欲しいとか、そこから何かが始まって欲しいという想いが強いように感じます。
高橋さん:
確かにそれはあります。自分にしかできないことはなんなんだろう?と東日本大震災を機に考えた時から、積極的に「高橋善郎は商品なんだ」と思って、色々と取り組むようにはしています。
料理研究家によっても話すのが苦手だったり、人前で顔を出したくないという方もおられますが、私なんかは幸いなことに話すことも苦ではないですし、アクティブに動くのも好きです。今の時代ではSNSやソーシャルメディアも盛んですので、自分がトレーニングをしている姿や料理をしている姿を積極的に発信していくことで、「自分にしかできない自分らしさ」を広く表現できるんじゃないかなと。
ゆーすけ:
さっき調べたら、けっこう動画の種類もありましたし、発信するのがお好きということもありそうですよね!
高橋さん:
でも実際は恥ずかしかったりするんですよ!誰もいないところでビデオに向かって話してたりしますから(笑)でもそこはもう振り切ると言うか、自分が商品なんだという気持ちですよね。
ゆーすけ:
あ、さすがにそうでしたか(笑)
では最後にお聞きしますが、高橋さんにとって「トライアスロン」とはなんですか?
高橋さん:
「人に優しくすることができる自分になるためのスポーツ」です。ゴールすることで精神的にも身体的にも強くなるのですが、それ以上に意味のあることは、辛い場面を乗り越えたからこそ得られる「優しさ」なんじゃないかなと思います。だから、強さは優しさとイコールの関係だと思いますし、そう思えるのは他ならぬ河原コーチの影響が大きいです。
自分だけでトレーニングをしているわけではないですし、いろんな方が練習を支えてくれたり、教えてくれるおかげでレースに出ることができています。もちろん、トライアスロンのレースは個人競技ですが、心の中では団体のスポーツだと感じています。その気持ちを持って、お世話になった方々に結果で恩返しをしたいと思います!
自分の可能性を追求するべく、まっすぐに突き進む高橋さん。
ぜひ最高の1年を送ってもらいたいものです(^^)
みなさんも良いシーズンをお迎えください!!
◆高橋善郎 Official HP
http://yoshiro-takahashi.com/
◆WEBで通える料理教室 「高橋善郎 Cooking Studio」
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