東京の中でも高層マンションが年々増える「水辺の地域」勝どき。2020年オリンピックパラリンピック開催地の近隣の町という点でも注目されていますが、以前は倉庫、そして町工場が多い工業地域でした。そんな勝どき駅から徒歩10分圏内にある「勝どきマリーナ」が、マリンアクティビティ愛好家、そして勝どき住民たちにとって欠かせないコミュニティの場となっているという噂を聞いて、お邪魔させていただきました。
船の工場がウェイクボードのスクールをオープン!?
この勝どきマリーナ、実は船舶用エンジンの修理工場が母体となっています。その流れから一般の方々に船を使ったレジャー、アクティビティを楽しむ機会を作りたいという考えからマリン事業を開始。船舶免許取得の講習や免許取得後のバックアップを行っていました。その後、船舶免許を取得した方に積極的に船舶を使用して、遊ぶ、楽しむきっかけを作れないか?と考え、たどり着いたのがウェイクボードでした。
「うちは船のエンジンの修理工場なのでトーイング(船着き場)も持っているという背景から、ボートレンタルをやっています。折角、船着き場もあるし、船もある。だったら気軽にアクティビティに触れ合ってもらいたいという思いから、1997年頃からウェイクボードのスクールを始めたのです。」こう語るのは勝どきマリーナの本橋弘康さん。他にも、船首に龍を象られ、10~20名程度で漕ぐドラゴンボードのレンタルを行っているそうです。
ボードライセンス取得者やウェイクボード愛好家が、勝どきに増えてきた!
スクール開始後は都内というアクセスの良さを理由に通ってくださるウェイクボード愛好家たちが多かったそうですが、最近は近隣の住民たちにも船舶の免許取得やウェイクボードが浸透しているそう。「大江戸線の開通頃から勝どきはマンションが急増しましたが、どうやらお住まいのマンションから運河沿いでウェイクボードをやっている姿が見えるというお宅もあるようなんです。それで気になって勝どきマリーナを知り、来てみたという方もいらっしゃいますよ。やはりウォーターフロントにお住まいを持ったということは、水辺のアクティビティに興味があるのだと思います。気軽に来ることができる距離ですし。」本橋さんのおっしゃる通り、近隣のマンションにはマリンスポーツのサークル活動があったり、この地域に住まう方々はアクティビティに興味がある方が多いようです。
カフェとバーが地域住民のアクティビティを知るきっかけの場に
「もう一つ、私たちのマリーナにはカフェ&バーを併設しています。ここにお食事目当てでふらりと訪れた近隣にお住まいの方が、テラス席から見えるボートの行き来やウェイクボードを持った方々を見て興味を持って、やってみたい!と言っていただくことも多いですね。」
もちろん、地域住民以外もウェイクボードやレンタルボートが終わった後に仲間と交流の場として活用されているそう。私たちも取材の後にカフェでランチをいただきましたが(ちゃっかり!)、とても雰囲気が素敵で、お料理もとても美味しかったです。テラス席はもちろん、水辺沿い。ウェイクボードの後に風を感じながらゆったりお食事やお酒をいただけるなんて最高ですね!
講習やスクールなどからお客さん同士のつながりも
勝どきマリーナでは、ボートライセンスの講習やウェイクボードスクールに一人でいらっしゃる方が多いそうです。「皆さんスクールなどを通してすぐに仲良くなって、そのままここのバーで一緒にお酒を飲みながら交流を深めたり、みんなで大会やイベントに行ったりもしますね」。勝どきマリーナの常連でウェイクボードを楽しんでいらっしゃる山田さん(今日はスタッフとしても活躍していたそう!)は、にこやかにお話くださいました。「全然普段の関わりのない職種の方と知り合えたり、仲間のお宅にお邪魔したり、というようにこの勝どきマリーナがあるからこそのつながりが増えているので、とても楽しいです!」勝どきマリーナはアクティビティを仲間と楽しむ場になっていることが利用者の様子からも伝わってきます。
地域で仕事をする、暮らす人、マリンアクティビティを楽しむ人のハブに
ウェイクボードを楽しむためには、地域の理解と協力が最も必要。「勝どきマリーナでは漁船や屋形船、工事作業船など運河を使って仕事をしている方々の邪魔にならないようにすることを第一に考えて、利用者の方々にレクチャーをしているといいます。私たちは、前に述べた皆様が仕事で使っている場で遊ばせていただいているので、この点は重要に感じています。運河って実は交通ルールなどが曖昧だったりする部分もあるので、私たちがルールを作り共有し、業務船の皆様などにご理解をいただいています。」また旧住民と新住民が合同で作り上げる地域のお祭のお手伝いを積極的に行うなど、人とのつながりだけなく、地域がつながる機会を増やすことにも力を入れるなど、地元に密着することを勝どきマリーナは大切にしています。
アクティビティを楽しむ人が街を守る
最後に、これからの取り組みとして考えていることはありますか?という質問に「地元のレンタルボート利用者は海の消防団になることができると思っています。海に普段から接している方々はその怖さなどもよくわかっているし。その体制を作っていきたいです。」と熱を込めてお話くださった本橋さん。「例えば勝どき住民の中で操船ができる人が多ければ、有事の際に船舶を使い水辺の物資運搬や救助活動など行えますよね。町会や自治会と取り決めができたら、それは可能なのではと考えています。」
レンタルボートが有事の際には、救援などの要になることが期待されています
船の工場から派生し、地域の方々にアクティビティを楽しむ機会を増やしているからこそ、地域がわかり地域へ還元ができるという、スタンスが魅力的な勝どきマリーナ。これからも多くの方々そして地域の大切な場として愛されていくこと間違いありません。
【information】
勝どきマリーナ
所在地 〒104-0054 東京都中央区勝どき3-15-3
連絡先 TEL 03-3531-7833 / FAX 03-3531-7834
E-mail info@kachidoki-marina.com
HP http://kachidoki-marina.com/
*ウェイクボードやレンタルボートについてはHPをご覧ください