トライアスロンやOWS、マラソンなどの持久系スポーツは長い時間動き続ける精神的にも、肉体的にも大変なスポーツ。レースだけでなく、トレーニングもハード。そんな辛さの先にはこれまで無かったモノが手に入れることができる。それが何よりの励みなのではないでしょうか。
ハードな運動を継続していくためには、様々なパワー・支えが必要です。ウェアや機器、環境、時間、お金、想い、そして思うように動いてくれる自分の身体。今回はどこまで動き続けられるか?持久力UPにつながる“スマート ” な食の選び方についてお伝えしていきます。
持久力に欠かせない『炭水化物』
運動する際のエネルギー源は主に炭水化物と脂肪です。脂肪はほぼ無限の量を身体に蓄えていますが、炭水化物を蓄えらえる量には限りがあります。炭水化物を摂らければ、数日で底をついてしまうほど少ないものです。ハードな運動をすれば1~2時間でも無くなってしまうほどの量になります。
それであれば、脂肪を使って動けばいいのでは?と思うかもしれません。不可能ではありませんが、炭水化物のない (ごはんやラーメンがない) 食事が継続できますでしょうか?この重要性については、以前の記事でご紹介させて頂きました。そちらも是非チェックしてみて下さい。
『炭水化物』と言えど、種類は様々
持久力UPのために炭水化物は大切なのですが、その選び方には注意が必要です。その理由は炭水化物には様々な種類が存在し、そのタイプを見極めた食品を取るかによって差が持久力UPに差が生まれるためです。
コンビニなどでの商品ラベルには、 基本的には 炭水化物の量しか表記されていません。この種類をラベルのみで見極めることは難しいものです。炭水化物にはどのような種類があるのか、チェックしていきましょう。
炭水化物=糖質+食物繊維
炭水化物は直接エネルギー源となる糖質と、エネルギー源にならない食物繊維にまず分けられます。基本的には「炭水化物≒糖質」といったイメージでとらえて頂いてOKです。ただ、食物繊維を含んでいるかの違いがあることだけは覚えておきましょう。その糖質は、糖質のサイズ(大きさ)によっていくつもかのグループに分けられています。
①糖類(単糖類・二糖類)> ②少糖類 > ③多糖類
大きく分けてこの3グループに分けられます。最も小さいグループは糖類。その次が少糖類。そして最も大きいグループが多糖類になります。それぞれ、基本的な内容を確認してみましょう。
① 糖類:ぶどう糖、果糖、 砂糖(ショ糖) など
糖類は糖質の中でも最も小さいサイズの糖のグループになります。その特徴は糖のサイズが小さいため、胃腸での消化がほとんどいらないことが特徴です。この糖類の中でも糖が “1つのみ ” の状態のグループの「単糖類」 。1つ1つの糖が “2つに合わさった ” ものを「二糖類」といいます。
単糖類は血糖値として血液中を循環する「ぶどう糖(グルコース)」や、果物やジュースに含まれる「果糖(フルクトース)」などがあります。
二糖類ではぶどう糖と果糖がくっ付いた「砂糖(ショ糖)」、牛乳に含まれる糖質の「乳糖」などがあります。
② 小糖類:オリゴ糖
オリゴ糖は後述する糖質の中でも最も大きいサイズの多糖類と糖類の間にある、中くらいのサイズの糖質になります。このサイズはでは腸から血液へ吸収するには少し大きいため、消化酵素によって小さく消化されるか、又はそのまま大腸にいる腸内細菌のエサになったりします。
天然の食品にはあまり含まれていませんが、便通改善など様々な健康効果が期待できることから食品に添加されているものが多いです。
③ 多糖類:デンプン、グリコーゲンなど
多糖類はお米やパン・麺の材料となる小麦粉に含まれる「デンプン」、私たちが体内で蓄えておく「グリコーゲン」が主なものになります。デンプンは唾液などに含まれる消化酵素によって細かくバラバラにされ、腸で吸収される頃には1つの糖(ぶどう糖など)になります。
「甘い糖」が私たちを困らす犯人!
このように糖質と言っても様々な糖質があるわけです。それぞれ糖にも特徴があるので、特徴に配慮した食事をすることがスマートな食になるのです。
この糖質の分類の中での大きな違いが『果糖』にあります。この果糖が体の中で “悪さ” をもたらします。果糖は肝臓での脂肪合成を高めてしまいます。脂肪合成は食事で摂った炭水化物を材料とします。そのため、果糖の多い食事は低脂肪の食事だったとしても予想以上に太りやすいということです。
犯人は「果糖」
果物にも果糖は含まれますが、普段召し上がれる程度の果物の量であれば脂肪を増やすまでの効果はないので問題ありません。むしろ、果物に含まれる他の栄養素(ビタミンCなど)がとても貴重なので、“朝のデザート” として積極的に召し上がって頂きたいです。
問題なのが果糖を含む『砂糖』です!砂糖の有無を見抜くカギは『甘さ』にあります。デンプンに関連する糖・糖質は甘味があまり感じにくいものです。ご飯もたくさん噛めば甘味を感じますが、砂糖の甘味と比べれば雲泥の差でしょう。
持久力UPにはどんな食事を?
炭水化物を摂ることが持久力UPには大事なことがお分かりになりましたでしょうか?しかし、その炭水化物でも種類によって異なってきます。前述の果糖・砂糖のことなど、様々な面を考慮した上でどんな食事、特に炭水化物が多く含まれる主食を取ればよいかを紹介します。
基本はご飯から
ご飯はそのものとしても栄養価がいい主食ですが、ご飯を加えた主菜・副菜とっいった食事全体としても持久力UPには効果的です。ご飯は炭水化物だけでなく、意外とたんぱく質などの栄養素も充実しています。炊くのが面倒であれば、ラップに1食分ずつ包み、冷凍庫に保存しておきましょう。前日に冷蔵庫に出しておき、食べる直前にレンジで温めれば手間も少なく済みます。栄養価を更に高める方法として、白米に玄米・雑穀を混ぜて炊くのもオススメです。腹持ちもいいので、お腹が空きやすい方にはもってこいですね!
また、減量の面でもご飯が効果的です。他の主食になる食品と比べて、水分を多く含こともあり、食事の満足度が高くなりやすい。玄米や雑穀を混ぜれば消化が緩やかになることでより満足度も高まるので、食べ過ぎ抑制にもつながります。ビタミン、ミネラル、食物繊維も多く摂れるようになるので本当にいいこと尽くめですね。
麺類もOK、だけど
ラーメンやお蕎麦などの麺類は炭水化物を含む「麺」自体はOKです。しかし、その他に何を食べるかによって結果は変ります。あっさり系の醤油ラーメンと、超コッテリの肉増し増しラーメン。違いはお分かりですよね。持久力UPのために麺を食べたとしても、肉や揚げ物、豚骨スープで脂肪を摂り過ぎてしまえば余計に重りを背をってしまうようなものです。スープを残したりして余計な摂り過ぎにつながらないようにするもの、“スマート”な食につながります。
手軽なパン・シリアルは△
パンやシリアルはご飯・麺類とは違い、多くのもので砂糖が入っています。ご飯や麺と違いパンのみで食べても確実に美味しく感じるのは、この砂糖のおかげと行っても過言ではないでしょう。これらは水分量が少ないこともあるため満足感が得られにくく、つい食べ過ぎてしまいがちになります。食事量を抑えられたとしても、その後の食事や間食で食欲を抑えきれなくなり、思うような結果にならなくなってしまうことが多いです。また、今流行りの高級食パンは食感・風味を増すためにクリームやバターなどをより多く使うため、砂糖だけでなく脂質も多く含むものが多いでしょう。
パン食は美味しい上、手軽に食べられる食事ということは誰もだ疑う余地もありません。私も食べたい時がよくあります。ただ持久力UPと言う側面、また健康の側面でも+にすることは難しい主食になります。サラダなどのおかずを充実させるなど、食事の満足度を他の料理で補える工夫ができるとパンのデメリットも小さくすることができます。そのような工夫をして取り入れてみて下さい。
食事として、お菓子・アイスは…
念のため記しておきますが、お菓子やアイスなどをご飯代わりに食べることはご法度です。ご存知のように多くのお菓子やアイスは砂糖がたくさん使われています。スタミナよりも “重り” がついてしまいかねません。同じ炭水化物でも、中身は全くことなるのです。
しかし、美味しいですよね。私も時々、コンビニで飲み会帰りや買い物ついでにアイスを買ってしまうことも(お気に入りは雪〇だいふくです)。0にしましょう、とは全く言うつもりもありません。頻度や量、質といったあらゆる視点をフル回転させれば、日々の努力を後押ししてくれるいい味方にもなってくれます。ただ、ご飯などの主食の代替にはせずに、心の小休憩として節度ある食べ方をしていきましょう。
運動していれば、炭水化物は恐れずに
最近は低炭水化物食の影響から、運動をされている方でも実践されてる方を多く見受けられます。ただ、運動をしている方であれば炭水化物のデメリットよりもメリットの方が大きくなります。是非、動いたら食べる、食べたら動くのサイクルを回し、持久力を上げ、心身共に更なる向上を目指していきましょう!
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身体作りやコンディショニング、パフォーマンスアップを後押ししてくれるもの、それがスポーツ栄養学。
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