オープンウォータースイマー節政健一がお送りする「津軽海峡横断泳までの道のり」。今回はOWSで必須のテクニック、両側呼吸のご紹介です。【津軽海峡横断泳までの道のり vol.4】
鹿児島県与論島で開催されたヨロンラフウォータースイム(以下:ヨロンRWS)に出場した際には、個人種目の5km、3km、1.5kmの3レースすべてにエントリーしました。
せっかく大会に出場するなら1レースでも多く泳がないともったいない!ヨロンRWSをきっかけに、大会にエントリーする際は、個人種目すべてに出場する「フルエントリー」を自分自身の大会ルールと決めました。
大荒れの海で痛感した「両側呼吸」の大切さ
ヨロンRWSでは5km→3km→1.5kmの順番で実施される予定だったのですが当日は台風の影響で距離と競技時間が短縮されました。台風の影響で海は大荒れで、体は上下左右に振られ思うように泳ぐことができず、呼吸をすると波が顔に覆いかぶさり呼吸ができないし、雨と波で目標物は見えない厳しいコンディションの中でレースは行われました。
そのため最初の1レースでほとんどの力を使い果たしてしまいました。しかも、時間短縮で次のレースまで40分しか間がなく、肩で息をしたまま2レース目がスタートしました……。
スタートしてしばらく泳ぐと首に張りがでてきて思うように呼吸動作ができなくなってしまいフォームも徐々に崩れ、波に流されまっすぐ進めずヘッドアップでコース確認をしようとすると首が痛むため、水面に顔をうまくあげることができません。それでも何とかゴールしますが、3レース目はそれからわずか30分後。すでに体力は底を尽きフォームも崩れたまま泳いだので散々な結果となりました。
この3レースで痛感したのは、「両側で呼吸する」ことの重要性でした。両側呼吸とは「右呼吸」と「左呼吸」を両方ともできることを指します。私はそれまで右呼吸しかできなかったのですが、このレース後は両側で呼吸ができるように練習とフォーム改善に取り組み、今では左右同じように呼吸ができるようになりました。
オープンウォータースイミングでは必須!両側呼吸
人には右利き、左利きがあるように水泳でも得意とする呼吸方向があります。多くの方がどちらか一方向だけの片側呼吸だと思いますが、オープンウォータースイミング(以下:OWS)では長距離を長時間かけて泳ぐことになるので呼吸回数も多くなります。その結果、片側呼吸だけだと片側の首だけに疲労が蓄積されレースの後半になると張りや痛みがでやすくなります。
そのため呼吸は両側でおこない、疲労を分散させることがOWSの重要なテクニックの1つなのです。
練習方法としては、3ストロークに1回呼吸や5ストロークに1回呼吸というように奇数回数で呼吸をするようにしましょう。そうすると左右交互に呼吸ができるので、左右それぞれの呼吸時のフォームの違いを確認しながら泳ぐことができます。さらに両側呼吸にすることで左右の泳ぎのバランスも良くなりフォーム改善にもつながりますし、レースでは左右の状況確認ができるようになるので視界も広がり他の選手よりも優位に泳ぐことができるようになります。
慣れない動きで最初はぎこちなく違和感がありますが1ヶ月ほど続けるとコツを掴めてくるので普段の練習にプラスして取り入れてみましょう。
■節政健一の「津軽海峡横断泳までの道のり」シリーズ
【vol.1】私がOWSスイマーになったきっかけ
【vol.2】私のOWS大会デビュー
【vol.3】泳ぐだけじゃない、OWS大会の楽しみは……?