10月2日に行われた岩手国体は31位でした。
応援ありがとうございました。
swim 20:14(7) 750m×2
BIKE 58:47(28) 20Km×2(変則周回コース)
RUN 38:03(65) 2.5Km×4
TOTAL 1:57:04 31位
東日本大震災の爪痕が残る岩手県で国体が開催された。実は埼玉県選手団は2週間前に合宿をおこなっていたのだが、その時は本当に開催できるのかとおもうような状態だった。しかし、大会当日は素晴らしいレース会場になっておりレースに集中できた。
試合当日は国体にふさわしい秋晴れ。日差しはやや強いが気温自体はそこまで高くはない感じ。水温も20℃を越しているということでウエットスーツはなし。前日から感じていたのだが体の調子がいい。
女子のスタートからスイムアップまでを見届け、そこからは自分の世界に入る。いつにもまして集中できている感じがあった。この時点で集中できているのは、今シーズン初めてかもしれないなとおもいながらだらだらと準備をする。
一通りアップを済ませバイクをトランジットへ入れる。なぜか珍しく気持ちが昂る。
「今日はいけるな」
と緩く思いながらもう一度アスリートラウンジに戻る。
スイムウォーミングアップを入念に行う。水温が低めなのでワセリンをしっかり塗っている選手もいたが、高校時代の恩恵かトライスーツを着ていればそこまで寒くない。アップをしながら、寒いと心拍数が上がりにくいのでパワー系の選手にはいいのかもしれないなとおもいながら泳ぐ。
セレモニーが始まる。久しぶりに調子がいいだけに緊張する。深く深呼吸をしてコールを待つ。埼玉県が呼ばれ、私と原田選手が入場する。グリッドは左から3番目の45を選択。愛媛の小林選手と千葉の渡部選手に挟まれる形。渡部選手の奥には大本命の東京都古谷選手がいる。
「落ち着いて行けよ。」
後ろから原田選手に声をかけられる。5年間もお世話になっていると安心感がある。
「よろしく!」
左の渡部選手と拳を合わせる。今日は握手じゃないのねと思いながら全選手の入場を待つ。
全員が入場してハートビートが鳴る。水面を見つめ「on your mark」の声を待つ。
フォーンが鳴った。スタートはやや浅かったが練習してきたドルフィンが決まりサクッと抜ける。50mくらいダッシュして古谷選手の真横にいることを確認した。しかし、右を見るとやたら速い選手がいる。前田選手かな?と思ったがどうやらフライングをした選手がいたらしい。
ブイまでに1列になると思ったのだが、みんな日本選手権前ということもあり仕上がっているのか併泳が続く。右のパックと合流したあたりで集団のポケットに入ってしまった。これは歓迎できない展開だ。
案の定前と詰まった瞬間に足首を持たれ、体に乗られる。こんなのは日常茶飯事だ。速く泳げる人たちはバトルをしないほうが速いとわかっているので、あまりこのようなことは起きないのだが、後ろに下がれば下がるほどほんとの意味での足の引っ張り合いが起きる。
「ここが切れ目になりそうだな。」
この予想は見事に的中する。バトルをかいくぐりブイを回る。両脇に選手を抱えたくないので隣の誰かを乗り越えスペースを作り泳ぐ。これがよかったのか1周目は先頭集団の最後尾で通過。そして後ろをチラ見。やっぱり渡部選手がいた。なんとなくいる気がしたのだが本当に居るとなると展開の幅が広がるのでおもしろくなる。
2周目は第2集団を引っ張る形で泳ぐ。目の前に先頭集団が見えているので追いつきたいのだがチェックが厳しい。追う展開なのに足を触られるという謎の行為に悩まされながらも途中からそれも消える。(どうやら渡部選手が対処してくれたそう。)
そのまま距離を保ちスイムアップ。私にしては珍しくほぼ全速でトランジットを駆ける。目の前に集団が見える。
「いける。」
と思いながらバイクに乗り出す。
早々に桶谷選手が追い付いてきてくれたので二人で前を追う。東京都小田倉選手、滋賀県杉原選手がこぼれてくる。後ろからは茨城県古山選手と地元岩手県の寺澤選手が来る。ポイントとなるだろう坂で集団を形成。そのまま6人でローテーションが始まる。
あまりうまく回らないが前が見えているのでがんばる。久しぶりに誰かに鼓舞される形でバイクを漕ぐのが楽しかった。集団の中では杉原選手の脚力が一段上だったのでその後ろに入る。ローテーションを合わせることはできても長く引くと集団もきつそうだし、なにより私の足がきつい。
6人で集団を動かしながら前を追う。18Kmあたりで先頭に追い付く。そのままローテに入るものの様子がおかしい。後ろで様子を見ているうちに愛知県谷口選手がするすると抜ける。
「おっ」
そう思った時には遅かった。折り返しだ。
「前3人はたぶん反応できない。」
そう思いながら回る。時間が長い。早く車体を起こさないと。
車体が起きた時には前は集団になって逃げていた。誰もまだ追走体制になっていないので、一人で追いかける。集団の最後尾からなんとか飛び乗りたいという一心でペダルを踏む。前との差はつまらない。後ろを振り向くと距離が開いている。じりじりと離される。そして、後ろの集団に戻る。
「やってしまった」
そう思いながらもさらに後ろの大集団に飲み込まれないようにバイクを踏む。こうなった場合残されたメンバー云々ではなく、引けるだけ引いてたまに休むしかない。ローテーションなんてないに等しい。その状態で残り20㎞をやり過ごした。
トランジットに戻ってきて靴を履く。足がつって靴が履けない。あとは我慢して走るだけだと言い聞かせて走る。鉛のような足を前に出して走る。ぞくぞくと後ろから選手に抜かれる。最初は抜いていった選手の後ろについていったが、3回4回と続けるうちに反応さえできなくなった。
「山下、最後は気合なんだよ。」
抜かれるときに原田選手から声をかけられる。
最後までやれることをやりつくしてゴール。椅子に座ってからしばらく動けなかった。
久しぶりに気持ちのいいレースができた半面、集団に残れなかった事実が悔しさを沸き立たせる。
「勝負は来週だ。」
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