10月9日に行われた日本トライアスロン選手権は30位でした。
応援ありがとうございました。
SWIM 19:12(18) 750m×2
BIKE 1:01:40(8) 5km×8
RUN 39:32(37) 2.5Km×4
TOTAL 2:01:42 30位
朝からあいにくの雨。我ながら雨男だなと改めて思う。会場ではすでに女子選手がウォーミングアップをしており、観客のボルテージも高まっている。
雨が本格的になる前に会場の導線を確認し、スイムアップをしている女子選手に声をかけに行く。某選手がレーザーでファーストブイまでの距離を測っていたので、それを聞いてスタート位置を考える。1~25番くらいまでは同じだということだったので安心した。そういう経緯もあり、女子のスタートは見ずに立体駐車場でストレッチと補強を行う。
立体駐車場の中は暖かいのだが、外に出ると横殴りの雨に打たれるのでかなり寒い。とてもじゃないけど外でウォーミングアップなんてできない。
ローラーでじんわりと体温を上げていく。ランニングで筋肉に刺激を入れて、トランジットへ向かう。
トランジットに入る前にたくさんの人に出会う。トライアスロンを始めて5年目、4回目の日本選手権になる。年々、応援してくださる方が増え、私を応援しに来てくださる方もいらっしゃる。そう考えると熱い気持ちがこみあげてくる。
バイクのセッティングを済ませ、スイムウォームアップを行う。久しぶりのビーチスタートだったのでしっかり確認する。2歩で飛び込むか、大きく1歩で飛ぶかすごく悩む。2歩だと波が出た時に脚が引っかかるリスクが高いので、安全策を取って大股1歩で飛ぶことにした。
セレモニーが始まる。珍しく呼吸が浅い。ここまで緊張するのは珍しい。「緊張するのは勝ちにこだわっているいい証拠だ。」、こう言い聞かせて、緊張を受け入れる。
名前がコールされる。29番グリッドを選択する。風の影響でブイが小さくなってしまったので隣の佐藤選手と確認する。曇りの影響もあり視界が悪い。ちゃんとクリアのゴーグルをもってきてよかった。
「on your mark」
フォーンが鳴る。スタートは完璧。横を見てもぽつぽつとしか周りにいない。
「ちゃんと息を吐けよ!」
友人の言葉を思い出す。頭の中も冷静だ。
ブイが近づくにつれて集団が密集する。まさに戦場だ。できるだけ内側を回りたいと思い体を寄せていく。ブイに入っていく瞬間に前がつまりスピードが落ちる。その時、腰に他選手の体重が乗る。前は泳ぎ始めているにもかかわらず、人ごみの中でもがいている。
ブイ周りで急に力んだからか、一気に乳酸がたまる。ここはもがきどころだと思い、腕を回す。やるしかないと思い泳ぐ。周りを見ながら泳ぐ。ハイドロパワーの疋田選手が見えた。横には神奈川大学の佐藤選手。
上陸したときに前を確認する。前もぽつぽつとこぼれている感じだった。前を追いたい気持ちとは裏腹に体が言うことを聞かない。集団で体を休めながら、追いかけるタイミングを伺う。最後の直線に入ったくらいで体が動き出す。動かなかった理由なんてどうでもいい。やるしかない。
陸が見える。すでに上陸している選手がいる。焦る気持ちを抑えながら、ビーチをかける。イメージ通りヘルメットをかぶり、自転車を押し始める。自転車に飛び乗り、急いで靴を履く。死ぬ気でバイクを踏んで前を追いかける。一番きつい瞬間だ。どうにかして集団に飛び乗らねばならないと思い、前から降ってくる選手を使いながら前へ前へと漕ぐ。
最初のコーナーで前がつかえていたのでラッキーだと思い距離をつめる。しかし、ぬれた路面に腰が引けてしまい、再び距離を開けてしまう。次のコーナーでうまいこと前との距離をつめることに成功した。
1周半くらい走ると体が落ちついた。前は少人数なので追いつけないこともなさそうだ。そう思ってローテーションをこなす。回せる人間で回した方が断然速い。リズムが乗ってきたその瞬間、前の選手がいいスピードでコーナーに入っていくのが見えた。これはやばいと思いながら、ブレーキをかけてコーナーに入っていく。タイヤが滑るのが見えた。腰を引いて大きく減速する。巻き込みは逃れたが、乗れる選手がいなくなったのは痛い。
周回を重ねるごとに、一人、また一人と落車していく。その度に引ける選手が減っていく。残ったメンバーで前を追いかけていく。いなくなってしまったものは仕方ないので今できる全力を尽くす。
気が付いたら古山選手と二人で集団を機能させていた
「懐かしいね。」
そう言いながら古山選手とローテーションをする。古山選手とはトライアスロンを始めたころからの仲だ。たくさん練習しただけにスムーズなローテーションができる。
最終周回に入るころ、集団は疲労していた。このまま全員連れて行くのもしゃくなので、古山選手に相談事を持ち掛ける。
「二人で行かない?」
「いいですけど、引いてくださいね!」
そう言われてからじわじわとペースを上げる。集団とは1m、2mと少しずつ距離が空く。路面も乾いてきたので、できるだけ全力でコーナーを抜ける。少し差が開いた。後ろは振り返らないようにしてトランジットに戻る。
「9位集団が戻ってきました。」
MCのアナウンスが聞こえる。急いで靴を履いて走り出す。はきそうだ。一人、また一人と抜かされる。悔しいという気持ちと走り切れるかという不安が襲い掛かる。苦しいが気合で走る。
「がんばれ!」
「死ぬ気で走れ!」
たくさんの言葉を受けて走る。幸せな瞬間だ。そう思いながら走っているとだんだんリズムが整う。気が付いたら残りは5㎞だった。
「姿勢、呼吸、気持ち。」
ひたすらこの言葉を繰り返す。
最後の直線に入る。ランで大失速したにもかかわらずたくさんの人がハイタッチを求めてくれる。
「もっと上の順位でハイタッチしたかったな。」
そう思いながらブルーカーペットを走る。
「もっと強くならなきゃ」
ゴールした瞬間そう思った。
プロになって初めてのオフシーズンを迎える。勝負はここからだ。
第22回日本トライアスロン選手権
http://www.jtu.or.jp/national_championships/
【かとすいアスリートチームへのご支援お願いします!】
今年度からプロ活動を開始したトライアスリート山下選手を中心としたトップを目指すアスリートチームです。4月中旬からサポーターズクラブサイトを開設し、そこで得た資金は選手たち(当面は山下選手のみ)の活動費に充ててまいります。ご支援のほどよろしくお願いいたします。